ビーバーの山の会
「森」と「街」をつなぐ。
京都市の北東、滋賀県と県境に位置する「久多」は街から車で1時間半、京都市でありながら積雪が多く、四季がはっきりしており美しい風景が見られます。森では多種多様な動植物が、里では古くから人の暮らしの中心に自然があり、今でも歴史や文化が残る地域です。私たちは森林保全活動や自然観察会を通じて、動植物の生態・自然環境・気候・地域の風土を理解し、地域環境に沿った森の手入れと環境保全を目的としています。
更に地球環境・地域環境・森の環境に出来るだけ負荷をかけない「暮し方」を「森」と一緒に考え感じる場づくりを目指しています。
取り組む課題
15年の活動期間の間に、前は見かけたのに最近見なくなった植物がいくつもあり、少しずつ確実に種が減ってきていること、異常気象で山の状態が変化している事が分かります。また、動植物の生態については、調査しきれていないことで生態が分かっていない種が少なくないという事を知り(特に認知度の低い動植物は研究している人も少なく)居なくなっても大きな問題にならず人知れず種が絶えてしまっていることがあるようです。私たちのフィールドには、この様な数が少なくなってしまった動植物が何種も在る事を確認し、これらを保護するための活動を中心に据え「森の保全活動」を行っています。
経緯/思い
この会の発起は、自然素材で住宅を建てようと考える建築士の思いで始まりました。自然素材の代表格「木」を追求すると、切っても切り話せないのは日本の山の現状です。日本に多くの使いどきの木があるのになぜ国産材は使われないのか。実際、山に入ってみたら何か分かるのではという事でメンバー所有の山をフィールドにして「里山整備活動」が2008年開始されました。植物の植生調査をし、それをふまえて「森づくり」の計画を立て挑みましたが、山作業の大変さや台風や雪などの被害もあって思ったように進まず、また私たちが「木材」という側面から森を捉えていたことで、しっくり活動が行えてない感覚でした。
その間に春にはたくさんの花が咲き、多くの木の名前を覚え、夏は緑の下で爽やかな風に吹かれ、秋にはきのこを収穫するといった本来ある自然の営みを体験し、「多種多様な動植物がこのフィールドにある」と実感、6年ほど経ったあたりから森を「つくる」のではなく「守る」という考えに変わっていきました。その大きなきっかけは希少種のランが私たちのフィールドにあり、その周りを鹿よけネットで囲い保護したところ、株が増え毎年花が咲くようになった事でした。種を守るという事は、基本的には自然に任せる「見守る」という事を専門家の方から教えてもらい、何もしなくても素晴らしい生物多様性の森が目の前にあったと分かった時は目から鱗が落ちる様でした。現在も、その森を深堀りしている最中で、毎月一回森に入って知識と感覚を養っています。それは、自然と地球環境に目を向ける行為になっていて世界を見る目が変わっていくのを感じます。この様な方々が増えるイメージを持ちつつ、地道に楽しく取り組んでいます。